前屈みで腰が痛くなるー腰椎椎間板ヘルニアとの関係性
2025.11.19ペインクリニック内科・麻酔科

「デスクワークをしているだけなのに、前かがみになると腰が痛む・・・」
このような症状でお悩みの方は少なくありません。前屈みの姿勢で腰に痛みが生じる場合、日常生活に大きな支障をきたすこともあります。
実は前屈みで腰が痛くなる原因はさまざまで、椎間板ヘルニアとの関連も深いことがわかっています。適切な対処法を知ることで、痛みを軽減し、快適な日常生活を取り戻すことが可能です。
本記事では、前屈みで腰が痛くなる原因と椎間板ヘルニアとの関係、そして効果的な対処法について詳しく解説します。
前屈みで腰が痛くなる主な原因
前屈みになったときに腰に痛みが生じる原因は複数あります。まずは代表的な原因について見ていきましょう。
腰痛には大きく分けて「前屈型」と「後屈型」の2種類があります。
猫背や姿勢の悪さ
普段から猫背で姿勢が悪い方は、前屈型の腰痛になりやすい傾向があります。人間の背骨は本来、緩やかなS字カーブを描くのが理想的な状態です。
背中が丸まると筋肉が常に伸ばされた状態になり、腰に過度な負担がかかります。特に柔らかいソファーや床に座ると背中が丸まりやすく、腰への負担が増大します。
腰への過度な負荷
デスクワークや運転、中腰姿勢での作業を長時間続けることも腰痛の原因となります。椎間板には立っている時と比べて、座っている時の方が1.4倍もの負担がかかるといわれています。
さらに、前傾姿勢で荷物を持つと椎間板への負担は2倍以上に増加します。そのため、デスクワークの方や重い荷物を持ち上げる機会が多い方は腰痛になりやすいのです。
ストレスによる影響
意外に思われるかもしれませんが、精神的な負担も前屈型の腰痛に影響を与えます。強いストレスは自律神経を乱す要因となります。
自律神経が乱れると身体は交感神経が優位になり、全身の血行が滞って腰痛につながりやすくなるのです。
腰椎椎間板ヘルニアと前屈みで起きる腰痛の関係
前屈みで腰が痛む場合、椎間板ヘルニアが原因となっていることも少なくありません。椎間板ヘルニアとは、背骨の間にあるクッション材である椎間板が飛び出し、神経を圧迫することで痛みやしびれを引き起こす疾患です。
腰椎椎間板ヘルニアの特徴
椎間板ヘルニアは、加齢やスポーツ、仕事などで腰部に負担がかかることで発症します。椎間板の一部が突出し、神経を圧迫するため、お尻や足にしびれや痛みが生じます。
また、同じ姿勢を長時間続けると筋肉が緊張し、痛みが生じやすくなります。
前屈みで痛みが増す理由
前屈みになると、椎間板に大きな負担がかかります。特に椎間板ヘルニアがある場合、前屈みの姿勢によって飛び出した椎間板が神経をさらに圧迫するため、痛みやしびれが強くなります。
洗顔などで前かがみになる時、長時間座っている時、床に置いてあるものを取る時、くしゃみや咳をした時などに痛みが強くなるのが特徴です。
椎間板ヘルニアの場合、前屈みになると腰や臀部に痛みを感じるだけでなく、太ももの裏がつっぱって前屈みになりづらい、咳やくしゃみをした際に腰や臀部に痛みを感じるといった症状も現れます。
医療機関を受診すべき症状
前屈みで腰が痛む場合、以下のような症状がある場合は早めに医療機関を受診しましょう。
受診が必要なサイン
痛みやしびれが軽減しない場合
腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの疾患が考えられます。
その他には血管の病気の可能性もあります。
痛みが悪化してくる場合
筋肉の張りが原因であれば1〜2週間程度で痛みは落ち着くはずです。時間が経過しても良くならない、または悪化する場合は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症などの疾患が考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアに該当する症状がみられる場合、当院ではラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/DART®)をご案内しております。
狭窄症の中には、椎間板が膨らんで神経を圧迫しているタイプがあります。そのような“椎間板由来の圧迫”が強いケースには、ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/DART®)によって症状が改善する可能性があります。ただし、骨や靭帯による圧迫が主なタイプでは、別の治療選択肢を検討する必要があります。
当院では、ご紹介した手術以外にも様々な手術方法をご用意しております。現在の症状や患者さんの背景をしっかりお伺いした上で適切な治療の選択肢をご用意させていただきます。
関連記事:椎間板ヘルニアの日帰り手術5つのメリット
日常生活での予防法
前屈みによる腰痛を予防するためには、日常生活での心がけも重要です。以下に効果的な予防法をご紹介します。
正しい姿勢の維持
日常生活では正しい姿勢を意識することが大切です。デスクワークの際は、背筋を伸ばし、骨盤を立てて座るようにしましょう。
また、長時間同じ姿勢を続けないよう、30分ごとに立ち上がって軽いストレッチをすることをおすすめします。背もたれのある椅子を使用し、腰をサポートすることも効果的です。
重い物の持ち方
重い物を持ち上げる際は、腰に負担をかけない方法を心がけましょう。膝を曲げてしゃがみ、背筋を伸ばした状態で持ち上げることが重要です。
中腰の姿勢で重い物を持ち上げると、腰椎への負担が大きくなります。5kg以上の物を持つ場合は特に注意し、必要であれば誰かに手伝ってもらうことも検討しましょう。
生活習慣の改善
腰痛予防には、全身の健康維持も欠かせません。適度な運動、特に腰に負担の少ない有酸素運動(ウォーキングや水泳など)を取り入れましょう。
また、喫煙は椎間板への血流を阻害し、組織の修復を遅らせる可能性があります。禁煙することで椎間板ヘルニアの悪化を防ぐことができます。
ストレス管理も重要です。ストレスが溜まると自律神経が乱れ、筋肉の緊張を引き起こします。適度なリラクゼーションを心がけましょう。
まとめ:「前かがみで痛む腰痛」は腰椎椎間板ヘルニアの可能性があります
前屈みで腰が痛くなる原因は、猫背や姿勢の悪さ、腰への過度な負荷、ストレスなど様々です。また、椎間板ヘルニアが原因となっている場合もあります。
痛みを和らげるためには、急性期には安静にして腰への負担を減らし、症状が落ち着いてきたら適切なストレッチやインナーマッスルのトレーニングを行うことが効果的です。
日常生活では正しい姿勢の維持や重い物の持ち方に注意し、適度な運動や生活習慣の改善を心がけましょう。
しびれや脱力感がある、前かがみになってもしびれが軽減しない、痛みが悪化するなどの症状がある場合は、早めに医療機関を受診することをおすすめします。
腰痛でお悩みの方は、いいだメンタルぺインクリニックにご相談ください。「こころの悩み」と「からだの痛み」の両方に対応する医療機関として、専門的な治療をご提供しています。
著者情報
いいだメンタルペインクリニック
ペインクリニック内科・麻酔科
理事長 飯田 高史
- 医学博士
- 麻酔科標榜医
- 日本専門医機構認定麻酔科専門医
- 日本麻酔科学会麻酔科認定医
- 日本ペインクリニック学会専門医