椎間板ヘルニアの初期症状と早期発見のポイント

2025.10.26ペインクリニック内科・麻酔科

椎間板ヘルニアの初期症状とは?

椎間板ヘルニアの初期症状を見逃さないことが、早期治療への第一歩です。以下の7つの症状がある、同時に現れる場合は、椎間板ヘルニアの可能性を考慮すべきでしょう。

椎間板ヘルニアの初期症状7つ

椎間板ヘルニアの早期発見には、初期症状を見逃さないことが重要です。以下に代表的な7つの初期症状をご紹介します。

1. 前かがみの姿勢で悪化する腰痛

椎間板ヘルニアの最も一般的な初期症状は腰痛です。特に前かがみの姿勢をとると、椎間板への圧力が増加して痛みが強くなります。

朝起きたときや長時間同じ姿勢を続けた後に痛みを感じることが多いのが特徴です。鈍痛や鋭い痛み、電気が走るような痛みなど、痛みの種類は人によって異なります。

咳やくしゃみをすると腹圧が上がり、椎間板への負担が増すため、痛みが悪化することもあります。これは椎間板ヘルニアを疑う重要なサインです。

2. 片側性の下肢痛やしびれ

下肢の痛みやしびれは、飛び出した椎間板が坐骨神経を圧迫することで引き起こされます。坐骨神経は人体で最も太い神経で、腰から足先まで伸びています。

多くの場合、片側のみに症状が現れるのが特徴です。これは飛び出した椎間板が神経の片側だけを圧迫するためです。

お尻から太ももの裏、ふくらはぎ、足先まで、神経の走行に沿って痛みやしびれが生じます。鋭い痛みや焼けるような痛みなど、さまざまな形で現れることがあります。

3. 足の筋力低下

神経の圧迫がさらに進むと、足の筋力が低下する場合があります。足の指や足首、膝などの筋力が弱くなり、つま先が上がりにくくなります。

このような症状が現れると、つまずきやすくなったり、スリッパが脱げやすくなったり、歩行が不安定になったりします。長距離を歩けなくなることもあります。

足の筋力低下は日常生活に大きな影響を与えるため、早期に専門医に相談することをお勧めします。

4. 姿勢の変化

椎間板ヘルニアになると、無意識のうちに痛みを和らげるための姿勢をとるようになります。座ったり立ったりしている際に、上半身が左右どちらかに少し傾く傾向があります。

また、太ももの裏がつっぱってしまい、前かがみになりづらくなることもあります。靴下を履くときや床に落ちたものを拾うときなど、前かがみになる動作が困難になります。

このような姿勢の変化は、周囲の人から指摘されて初めて気づくこともあります。

5. 間欠性跛行

間欠性跛行とは、歩いているとだんだん症状がひどくなり、しばらく休むとまた歩けるようになる状態を指します。

椎間板ヘルニアの場合、歩行によって神経への圧迫が増し、痛みやしびれが強くなります。休息によって一時的に症状が和らぎますが、また歩き始めると症状が再発します。

この症状は脊柱管狭窄症でも見られますが、椎間板ヘルニアの初期症状としても現れることがあります。特に高齢の方は注意が必要です。

6. 排尿・排便障害

重度の椎間板ヘルニアでは、排尿や排便に関わる神経も圧迫されることがあります。頻尿、排尿困難、便秘、まれに失禁などの症状が現れることもあります。

これらの症状は馬尾症候群と呼ばれる緊急性の高い状態の可能性があります。このような症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診してください。

早期の適切な治療が必要な状態です。放置すると永続的な神経障害を引き起こす可能性があります。

7. 感覚異常

お尻や太ももの外側にしびれがあり、左右で触られたときの感じ方が違うといった感覚異常も初期症状の一つです。

神経が圧迫されることで、痛覚や触覚、温度感覚などが鈍くなったり、過敏になったりします。ピリピリとした異常感覚や、熱いものや冷たいものを正確に感じられなくなることもあります。

このような感覚異常は、椎間板ヘルニアの進行を示す重要なサインです。早めに専門医に相談しましょう。

椎間板ヘルニアの早期発見のポイント

椎間板ヘルニアは早期に発見し、適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぐことができます。以下に早期発見のポイントをご紹介します。

前かがみになったときに腰やお尻に痛みを感じる場合は注意が必要です。特に、咳やくしゃみをした際に腰やお尻に痛みが走る場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります。

また、座ったり立ったりしている際に、上半身が自然と左右どちらかに少し傾く場合も要注意です。これは無意識のうちに痛みを和らげるための姿勢をとっている可能性があります。

お尻や太ももの外側にしびれがあり、左右で触られたときの感じ方が違う場合も椎間板ヘルニアの初期症状かもしれません。このような感覚の違いは、神経が圧迫されていることを示しています。

自己チェックの方法

椎間板ヘルニアの可能性を自己チェックする方法として、下肢伸展挙上試験(SLRテスト)があります。これは医師が行う検査ですが、簡易版を自宅で試すことも可能です。

仰向けに寝て、膝を伸ばしたまま片足をゆっくり上げてみましょう。このとき、腰やお尻、足に痛みやしびれが出る場合は、椎間板ヘルニアの可能性があります。

ただし、自己判断は危険です。気になる症状がある場合は、必ず専門医に相談してください。

専門医への相談のタイミング

以下のような症状がある場合は、早めに専門医に相談することをお勧めします。

  • 2週間以上続く腰痛や下肢の痛み・しびれ
  • 日常生活に支障をきたすほどの痛みやしびれ
  • 足の筋力低下や歩行困難
  • 排尿・排便障害
  • 安静にしていても痛みが続く場合

特に排尿・排便障害は緊急性が高いため、すぐに医療機関を受診してください。

椎間板ヘルニアの診断方法

椎間板ヘルニアの診断には、問診、身体診察、画像検査などが用いられます。それぞれの検査について詳しく見ていきましょう。

問診と身体診察

まず医師は、症状の詳細や発症の経緯、痛みの性質などについて詳しく質問します。いつから症状があるのか、どのような動作で痛みが強くなるのかなど、具体的に伝えることが重要です。

身体診察では、下肢伸展挙上試験(SLRテスト)などが行われます。これは、仰向けに寝た状態で膝を伸ばしたまま足を上げ、痛みやしびれの有無を確認する検査です。腰椎椎間板ヘルニアがある場合、9割以上の方がこの試験で陽性となります。

また、筋力や反射、感覚などの神経学的検査も行われます。これにより、どの神経が圧迫されているかを特定することができます。

画像検査

椎間板ヘルニアの確定診断には、MRI検査が最も有効です。MRIでは、椎間板の状態や神経への圧迫の程度を詳細に観察することができます。

X線検査では椎間板自体は写りませんが、骨の変形や脊椎の配列異常などを確認するために行われることがあります。

CTスキャンは、骨の状態をより詳細に観察するために用いられることがあります。また、MRI検査が受けられない方の代替検査としても使用されます。

なお、MRI検査などで椎間板が飛び出した状態が確認されても、自覚症状があらわれていない場合は特に治療の必要はありません。症状と画像所見の両方を総合的に判断して治療方針が決定されます。

症状によって異なりますので、専門医とよく相談して決めることが重要です。

まとめ:早期発見・早期治療が鍵

椎間板ヘルニアは、早期に発見し適切な治療を受けることで、症状の悪化を防ぎ、日常生活への影響を最小限に抑えることができます。

当院では、椎間板ヘルニアをはじめとする様々な痛みの治療に豊富な経験を持っています。痛みやしびれでお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

詳しい診療内容や予約方法については、いいだメンタルペインクリニックのウェブサイトをご覧いただくか、お電話でお問い合わせください。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

ペインクリニック内科・麻酔科

理事長 飯田 高史

  • 医学博士
  • 麻酔科標榜医
  • 日本専門医機構認定麻酔科専門医
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定医
  • 日本ペインクリニック学会専門医