膝の痛みに新たな選択肢|変形性膝関節症とエクソソーム・再生医療を旭川のペインクリニックが解説
2026.06.04ペインクリニック内科・麻酔科

階段の上り下りが怖い。歩き始めに膝がきしむように痛む。膝に水が溜まって腫れている。「手術はまだ受けたくない」「注射や薬以外に方法はないのか」と感じている方は少なくありません。
変形性膝関節症は国内で約1,000万人が罹患していると推定される疾患です。近年注目を集めているのが、PRPやエクソソーム療法をはじめとする再生医療です。従来の保存療法と手術の間に位置する新たな選択肢として研究・臨床応用が進んでいます。
変形性膝関節症とは:なぜ膝が痛くなるのか
加齢・体重・筋力低下などによって膝関節の軟骨が徐々にすり減り、骨・滑膜・半月板などの周囲組織に炎症と変形が生じる疾患です。軟骨がすり減ると滑膜に炎症が生じ、関節液が過剰分泌されて「膝に水が溜まる(関節水腫)」状態が起きます。
進行の4段階として、疑い期(こわばり・歩き始めの痛み)→初期(正座・階段の不快感)→進行期(水の貯留・曲げ伸ばしの困難)→末期(安静時の痛み・膝の変形)と進んでいきます。60歳以上の女性では60〜80%が発症するとされています。
従来治療の限界
保存療法(薬物・ヒアルロン酸注射・リハビリ)は症状の緩和に有効ですが、軟骨の損傷を修復するものではなく効果が一時的です。ステロイド注射は頻回使用で骨壊死・骨粗鬆症のリスクが高まります。人工関節置換術は効果が高い反面、入院3〜4週間・人工関節の寿命(15〜30年)・将来的な再手術など患者さんへの負担が大きく、「手術をしたくない」という方に手術以外の選択肢が求められています。
再生医療:変形性膝関節症への新しいアプローチ
再生医療とは、病気やケガで失われた細胞・組織・機能を回復させることを目指す医療です。変形性膝関節症では損傷した軟骨・滑膜の修復促進・炎症抑制・痛みの緩和を目的として、幹細胞やエクソソームを関節内に投与するアプローチが注目されています。
重要な前提として、再生医療は変形性膝関節症を完治させる治療ではありません。損傷した軟骨を完全に元通りにすることは現時点では難しく、痛みの緩和・炎症の抑制・進行を遅らせることが主な目的です。
再生医療の種類と比較
①幹細胞治療(自己脂肪由来)
患者さん自身の脂肪から幹細胞を採取・培養し膝関節内に投与します。軟骨・組織の修復促進と痛みの軽減が期待されます。自己由来でアレルギーリスクが低い反面、脂肪採取処置が必要で費用が1回あたり数百万円程度と高額です。
②PRP療法・成長因子療法
血液から成長因子を抽出して関節内に投与します。初期〜中期に適しており、副作用が少ない点が特徴です。費用は1回あたり数十万円程度が目安です。「再生医療類似治療」に位置づけられます。
③エクソソーム療法(幹細胞上清液)
幹細胞が分泌する培養上清液(エクソソームを含む多種の成長因子)を関節内に投与します。採取処置が不要・比較的安全・費用が1回あたり10万円程度という点から近年広く普及しています。
| 幹細胞治療 | PRP療法 | エクソソーム療法 | |
| 採取処置 | 必要(脂肪) | 必要(採血) | 不要 |
| 費用目安 | 数百万円/回 | 数十万円/回 | 10万円程度/回 |
| 適応ステージ | 初期〜進行期 | 初期〜中期 | 初期〜進行期 |
| 保険適用 | なし(自費) | なし(自費) | なし(自費) |
エクソソーム療法を詳しく解説
仕組みと効果
エクソソームとは細胞が分泌する直径30〜150nm程度の超微小な小胞(ナノ粒子)です。内部にはmRNA・miRNA・成長因子など細胞の修復・再生・炎症調節に関わる多種の生理活性物質が含まれています。
変形性膝関節症に対しては①炎症抑制(炎症性サイトカインの抑制)②組織修復サポート(軟骨・滑膜細胞の修復促進)③疼痛緩和(炎症に伴う疼痛シグナルの軽減)の3つの作用が期待されます。
費用・治療回数・効果の目安
- 費用:1回あたり10万円程度が目安
- 効果の発現:早い方は数日〜2週間、一般的には1〜2ヵ月程度
- 効果の持続:最長1〜2年程度持続する方もいますが個人差があります
- 安全性:自家細胞を使わないため採取時の侵襲・感染リスクが低い。ただし投与後に腫れ・熱感が生じることがあります
ペインクリニック専門医から見た位置づけ
再生医療が「組織を修復する」アプローチであるのに対し、ペインクリニックが専門とするのは「神経・痛みのメカニズムへの直接アプローチ」です。変形性膝関節症では軟骨損傷に加え、慢性化した神経の過敏化(中枢感作)が痛みを増幅しているケースがあります。
段階的なアプローチとして、「人工関節手術を勧められたがまだ踏み切れない」「手術の前にできることを試したい」という方は、当院へぜひご相談ください。
注意点
- すべて自費診療:保険適用外となります
- 効果に個人差がある:「必ず効く」「完治する」という説明をする医療機関には注意が必要です
よくある質問(FAQ)
エクソソーム療法で膝の軟骨は再生しますか?
損傷した軟骨が完全に再生するという科学的根拠は現時点では確立されていません。炎症の抑制・痛みの緩和・進行を遅らせる効果が期待されますが、完治・根治を保証する治療ではありません。
エクソソームと幹細胞治療はどちらが効きますか?
症状の進行度・費用・希望によって適した選択肢が異なります。エクソソームは採取処置不要・費用が比較的低い点が特徴、幹細胞治療はより直接的な修復効果が期待される点が特徴です。専門医への相談をお勧めします。
何回くらい通院が必要ですか?
複数回の投与が一般的です。治療前に担当医から治療スケジュールの説明を受けてください。
人工関節手術を勧められましたが再生医療は選択肢になりますか?
症状の進行度によっては選択肢になりえます。ただし末期で骨の変形が高度な場合は効果が限られるケースが多く、専門医との十分な相談が重要です。
まとめ|変形性膝関節症・エクソソーム療法のご相談は旭川のいいだメンタルペインクリニックへ
エクソソーム療法をはじめとする再生医療は、従来の保存療法と手術の間に位置する新たな選択肢として注目されています。完治を保証するものではありませんが、「手術を避けたい」「できることから試したい」という方にとって有力な選択肢のひとつです。
当院ではペインクリニック専門医として、神経ブロック療法・薬物療法による痛みのコントロールと再生医療に関する情報提供を組み合わせ、膝の痛みでお悩みの方を総合的にサポートします。旭川で変形性膝関節症・膝の痛みにお悩みの方は、まずお気軽にご相談ください。