スーパーライザー(近赤外線治療)の効果とは?ペインクリニックでの適応を旭川の専門医が解説

2026.05.05ペインクリニック内科・麻酔科

「スーパーライザー」という言葉を耳にしたことはあっても、どんな治療なのか、何に効くのか、注射の星状神経節ブロックとどう違うのかがよくわからない。そんな方は少なくありません。

スーパーライザーは、近赤外線を星状神経節や末梢の炎症部位に照射することで自律神経・血流に働きかける治療器です。注射を使わないため痛みがなく、ペインクリニックをはじめ多くの医療機関で活用されています。

この記事では、ペインクリニック専門医の立場から、スーパーライザーのしくみ・効果・適応・メリット・デメリット・星状神経節ブロックとの使い分けまで、わかりやすく解説します。

スーパーライザー(近赤外線治療器)とは

近赤外線で星状神経節にアプローチする治療器

スーパーライザーは、近赤外線を体外から照射することで星状神経節(せいじょうしんけいせつ)に作用する医療機器です。もともとペインクリニックで行われていた星状神経節ブロック療法と同様の治療効果を、注射を用いずに得ることを目的として開発されました。

現在ではその有効性と安全性が評価され、大学病院を含む多くの医療機関で導入されています。ペインクリニックでの疼痛治療のほか、耳鼻科・眼科・内科など幅広い診療科で活用されている治療器です。

どのような機器か:照射のしくみ

スーパーライザーは、皮膚から深部に届く近赤外線(波長600〜1600nm程度)を照射します。近赤外線は可視光線より波長が長く、皮膚表面だけでなく深部組織まで到達する特性を持っています。この近赤外線を頚部(のど仏の下側付近)、末梢の疼痛部位に照射することで、その深部にある神経節に作用し、神経の過剰な興奮を抑制します。

照射中は温かく柔らかい光が当たる感覚があり、痛みはほとんどありません。1回あたりの照射時間は機器の種類によって異なりますが、数分〜15分程度が目安です。照射中にリラックスして眠ってしまう方も多くみられます。

星状神経節ブロック(注射)との関係

スーパーライザーは、ペインクリニックで従来から行われている星状神経節ブロック(注射)の代替・補完として位置づけられる治療です。星状神経節ブロックは局所麻酔薬を星状神経節に直接注射することで交感神経をブロックしますが、スーパーライザーは注射を使わず、近赤外線の照射によって同様のアプローチを目指します。

注射ブロックと比較すると1回あたりの即効性は異なりますが、繰り返し照射することで星状神経節ブロックに近い効果が期待できるとされています。注射への恐怖感・痛みへの抵抗感がある方や、継続的な通院で治療を積み重ねたい方にとって、スーパーライザーは有効な選択肢です。

スーパーライザーが体に与える効果—自律神経・血流へのアプローチ

交感神経を抑制し副交感神経を優位にする

私たちの体には意思とは無関係に24時間働き続ける自律神経があり、交感神経と副交感神経がバランスをとることで体調が維持されています。交感神経は活動・緊張・ストレス時に優位になり、過剰に活性化すると血管収縮・筋肉の硬直・免疫機能の低下・不眠などが起きやすくなります。

スーパーライザーによる星状神経節への近赤外線照射は、過剰に興奮した交感神経の活動を抑制し、副交感神経が優位な状態へと導きます。副交感神経が優位になることで、血管が拡張して血流が改善され、筋肉の緊張が和らぎ、自然治癒力・免疫力が高まりやすくなります。夜間の良質な睡眠につながるケースも多く報告されています。

血流改善による痛み・症状の緩和

交感神経の過剰興奮によって収縮していた血管が拡張すると、酸素・栄養素を運ぶ血液が全身に行き渡りやすくなります。血流の改善は、痛みの原因となる炎症性物質の排出促進・組織の修復促進につながり、さまざまな痛みや症状の緩和が期待できます。帯状疱疹後神経痛・肩こり・頭痛・末梢血行障害などへの効果はこのメカニズムによるものです。

左右同時照射ができる点での優位性

星状神経節ブロック療法は、両側同時に実施すると呼吸停止のリスクがあるため、片側ずつしか行えないという制約があります。一方スーパーライザーは、左右の星状神経節に同時照射が可能です。これにより左右均等に治療効果が期待でき、「片側だけ肩こりが楽になったが、反対側はそのまま」という状況を避けることができます。

ペインクリニックにおけるスーパーライザーの適応疾患・症状

スーパーライザーは非常に幅広い疾患・症状に適応があります。当院では主にペインクリニックの専門領域として以下の症状・疾患に対して活用しています。

痛み・神経疾患への適応

帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛・反射性交感神経萎縮症(カウザルギー・幻肢痛)・片頭痛・群発頭痛・緊張型頭痛・後頭神経痛・三叉神経痛・顔面神経麻痺(ベル麻痺・ハント症候群)・顔面痛・顎関節症・肩こり・頚肩腕症候群・頚椎症・外傷性頚部症候群・胸郭出口症候群・五十肩・テニス肘・腱鞘炎・坐骨神経痛・帯状疱疹による痛みなどが挙げられます。

自律神経・精神・その他への適応

不眠症・自律神経失調症・冷え性・便秘・円形脱毛症・更年期症状・慢性疲労・小児喘息・慢性気管支炎・凍瘡・凍傷などにも適応があるとされています。特に自律神経の乱れが背景にある症状全般に対して、スーパーライザーによる交感神経の調整は有効なアプローチとなります。

多汗症への適応(当院の専門領域として)

スーパーライザーの適応疾患のひとつに多汗症があります。当院では手掌多汗症・腋窩多汗症・顔面多汗症などに対して、星状神経節への近赤外線照射による交感神経抑制アプローチを治療選択肢のひとつとして活用しています。神経ブロック注射との組み合わせや、注射への抵抗がある方への代替として、症状と希望に応じてご提案します。

スーパーライザーと星状神経節ブロック(注射)—どちらを選ぶか

即効性を求めるなら注射ブロック

帯状疱疹後神経痛・突発性難聴・急性の強い疼痛など、できるだけ速やかな改善が求められるケースでは、星状神経節ブロック注射の即効性が有利です。1回の注射で交感神経を直接・確実にブロックできるため、症状が重い・急を要する場合は注射ブロックが第一選択となることが多いです。

痛みが苦手・継続通院が可能ならスーパーライザー

注射への恐怖感・痛みへの抵抗感が強い方、継続的な通院で段階的に改善を積み重ねたい方、軽〜中等度の症状で予防的・維持的な治療を希望する方には、スーパーライザーが適しています。副作用のリスクが低く、治療中のリラックス効果も加わることで、通院継続のハードルが低い点も利点です。

当院での使い分けの考え方

当院では、スーパーライザーと星状神経節ブロック注射を対立するものではなく、症状の種類・重症度・患者さんの希望・通院可能な頻度に応じて使い分け・組み合わせる選択肢として考えています。「注射は怖いけれど治療したい」「注射と並行してスーパーライザーも活用したい」など、どのような希望でも診察時にお気軽にご相談ください。

よくある質問(FAQ)

スーパーライザーは保険が使えますか?

頚部・肩の筋肉の凝りや痛みを伴う場合など、適応によっては保険診療で実施できるケースがあります。適応外の症状については自費診療となります。詳細は診察時にご確認ください。

何回くらい通院が必要ですか?

症状の種類・重症度・個人差によって異なります。数回の照射で改善を実感する方もいれば、一定期間の継続通院が必要なケースもあります。目安については診察時に症状を確認したうえでお伝えします。

妊娠中でも受けられますか?

心臓にペースメーカーが入っていない、光線過敏症でない、照射部位に入れ墨・ほくろがないなどの条件を満たしていれば、妊娠中の方も受けることができます。事前に必ず問診でお知らせください。

星状神経節ブロックとスーパーライザーは併用できますか?

症状・通院頻度・希望によって、注射ブロックとスーパーライザーを組み合わせることは可能です。それぞれの特性を活かしながら治療を進めることができますので、診察時にご相談ください。

どんな症状の方が当院に相談に来ていますか?

肩こり・頭痛・帯状疱疹後神経痛・突発性難聴・耳鳴り・不眠・自律神経の乱れ・多汗症など、幅広い症状でご相談いただいています。「自分の症状が対象になるかわからない」という場合も、まずはお気軽にお問い合わせください。

まとめ|スーパーライザーの相談は旭川のいいだメンタルペインクリニックへ

スーパーライザー(近赤外線治療)は、注射を使わずに星状神経節にアプローチし、自律神経・血流を整えることで幅広い症状の改善が期待できる治療器です。痛みがなく副作用が少ない点・左右同時照射が可能な点・治療中のリラックス効果などが特徴であり、注射への抵抗がある方や継続的な通院で改善を積み重ねたい方に適しています。

一方で、即効性の高い改善が必要なケースでは星状神経節ブロック療法との使い分けが重要です。当院ではペインクリニック専門医が症状・希望・通院状況を踏まえて、スーパーライザーと神経ブロック療法を最適に組み合わせた治療方針をご提案します。

旭川でスーパーライザー・ペインクリニック治療をお探しの方は、まずお気軽にご相談ください。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

ペインクリニック内科・麻酔科

理事長 飯田 高史

  • 医学博士
  • 麻酔科標榜医
  • 日本専門医機構認定麻酔科専門医
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定医
  • 日本ペインクリニック学会専門医