ペインクリニックと整形外科の違いは?どちらを受診すべきか旭川の専門医が解説
2026.05.04ペインクリニック内科・麻酔科

腰が痛い、肩こりがひどい、しびれが続いている。こうした症状で受診先を調べたとき、「整形外科」と「ペインクリニック」の両方が候補に出てきて、どちらに行けばいいか迷った経験はありませんか。
名前は聞いたことがあっても、「ペインクリニックと整形外科は何が違うのか」「どんな症状のときにペインクリニックに行けばいいのか」を正確に説明できる方は多くありません。
この記事では、ペインクリニック専門医の立場から、ペインクリニックと整形外科の違い・それぞれが得意とする治療・どちらを受診すべきかの目安をわかりやすく解説します。
ペインクリニックとは?まずは基本から理解しよう
ペインクリニックの定義
ペインクリニックとは、痛みそのものを専門的に診断・治療する診療科です。痛みを病気として捉え、その緩和・消失を目的に治療を行います。
主な治療手段は神経ブロック療法と薬物療法であり、痛みの原因となっている神経や神経周囲に直接アプローチすることで、痛みのメカニズムを遮断します。ペインクリニックの医師は麻酔科を専門的なバックグラウンドとする場合が多く、神経の解剖や局所麻酔薬の扱いに精通していることが特徴です。
ペインクリニックが扱う主な症状・疾患
ペインクリニックが対応する症状・疾患は非常に幅広く、主なものとして以下が挙げられます。
脊椎・運動器に関するものとしては、腰椎椎間板ヘルニア・脊柱管狭窄症・変形性脊椎症・頚椎症・坐骨神経痛・ぎっくり腰・五十肩・膝関節痛・肋間神経痛などがあります。神経・頭痛に関するものとしては、片頭痛・緊張型頭痛・群発頭痛・後頭神経痛・三叉神経痛・顔面神経麻痺などが含まれます。また、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛・複合性局所疼痛症候群(CRPS)・線維筋痛症などの難治性疼痛も、ペインクリニックが専門的に扱う領域です。さらに、突発性難聴・顔面神経麻痺など、神経ブロックによる血流改善効果が期待される疾患にも対応します。
「痛みの専門科」として麻酔科医が担う役割
ペインクリニックの医師の多くは麻酔科を専門とするバックグラウンドを持っています。手術中に患者さんの痛みをコントロールする麻酔科の技術は、そのまま痛みの治療に応用できます。神経の走行・局所麻酔薬の特性・神経ブロックの手技に習熟した麻酔科専門医が担当することで、精度の高い痛みの治療が可能になります。
整形外科とペインクリニックの違いを比較
治療アプローチの違い:手術・リハビリ vs 神経ブロック
整形外科とペインクリニックの最も大きな違いは治療アプローチにあります。
整形外科では、鎮痛薬・湿布などの薬物療法、リハビリテーション、装具療法、そして必要に応じた手術治療が中心となります。骨・関節・筋肉・腱などの運動器の構造的な問題を診断・治療することを得意としており、骨折・捻挫・脱臼などの外傷への対応は整形外科の専門領域です。
一方ペインクリニックでは、神経ブロック注射による痛みへの直接的なアプローチと、痛みの専門的な薬物療法が中心となります。整形外科的な手術は行わず、神経・血流・痛みのメカニズムへの介入によって症状の改善を目指します。「薬物治療と手術の間に位置する治療」として、神経ブロックはその中核を担います。
| 整形外科 | ペインクリニック | |
| 主な治療 | 薬物療法・リハビリ・手術 | 神経ブロック・薬物療法 |
| 得意な痛み | 外傷・構造的な問題 | 神経性・慢性・難治性の痛み |
| 手術 | あり | Racz、SCSなど |
| 画像診断 | レントゲン・MRIが中心 | 問診・神経学的診察が中心 |
| 帯状疱疹後神経痛 | 対応困難なケースあり | 専門的に対応 |
| 多汗症 | 対応なし | 対応可能(当院) |
扱う疾患・症状の違い
整形外科は骨折・捻挫・靭帯損傷・変形性関節症など、骨や関節の構造的な問題を伴う疾患を得意とします。レントゲンやMRIで「異常が見える」痛みへの対応が中心です。
ペインクリニックが強みを発揮するのは、「画像に異常が映らないが痛みが続く」「整形外科での治療を続けても改善しない慢性疼痛」「帯状疱疹後に残る神経痛」「複数の部位にわたる広範な痛み」などのケースです。痛みそのものを疾患として捉え、神経レベルからアプローチする点がペインクリニックの特徴です。
どちらにもない症状・両方を受診するケースも
整形外科とペインクリニックは対立する診療科ではなく、互いを補完する関係にあります。整形外科で構造的な問題への治療(手術・リハビリ)を受けながら、残存する神経性の痛みにはペインクリニックで神経ブロックを併用するケースも珍しくありません。どちらか一方に固執するのではなく、症状の性質に応じて柔軟に選択することが重要です。
整形外科で改善しなかった痛みがペインクリニックで変わることがある理由
慢性疼痛・神経性の痛みへの対応
整形外科の治療の中心は構造的な問題への対応であるため、「レントゲンやMRIに異常が映らない痛み」「構造的な問題が改善した後も残る神経性の痛み」には対応が難しいケースがあります。
慢性的な痛みは、痛みの信号を伝える神経が過敏化することで、本来痛みを感じないはずの刺激でも強い痛みとして感じるようになる「中枢感作」と呼ばれる状態に移行していることがあります。このような神経レベルの変化に対しては、神経ブロック療法によるアプローチがやペインクリニックで行う内服療法など有効なケースがあります。
帯状疱疹後神経痛・難治性疼痛のアプローチ
帯状疱疹後神経痛は、帯状疱疹が治癒した後も長期間にわたって神経の痛みが続く状態です。整形外科では対応が難しいケースが多く、ペインクリニックが専門的に扱う代表的な疾患のひとつです。早期からの神経ブロック療法によって後遺症としての神経痛を予防・軽減できる可能性があることから、帯状疱疹の発症初期からのペインクリニック受診が有効です。
また、複合性局所疼痛症候群(CRPS)・線維筋痛症・術後の難治性疼痛なども、ペインクリニックが対応する難治性疼痛の代表例です。
いいだメンタルペインクリニックが対応できる症状・疾患
痛みの治療(神経ブロック療法)
当院では日本ペインクリニック学会専門医・日本専門医機構認定麻酔科専門医が担当する神経ブロック療法を提供しています。腰痛・頚部痛・坐骨神経痛・帯状疱疹後神経痛・慢性頭痛・三叉神経痛・肩こりなど、幅広い痛みの症状に対応しています。「整形外科に通っているが痛みがなかなか改善しない」「手術は希望しないが薬だけでは不十分」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
多汗症(手汗・脇汗・足汗・顔汗)
手掌多汗症・腋窩多汗症・足蹠多汗症・顔面多汗症に対して、神経ブロック療法を含む保険診療での治療をご提案できます。多汗症はペインクリニックの診療と直接関係しないように思われがちですが、発汗を支配する交感神経へのブロックアプローチはペインクリニックの専門領域であり、当院の強みのひとつです。
椎間板ヘルニア手術(DISC-FX/DART)
当院では、皮膚を切らずに日帰りで受けられるラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/DART)にも対応しています。小鉗子による髄核の摘出とラジオ波による線維輪損傷部の凝縮を組み合わせた低侵襲な治療法で、軽度〜中等度の腰椎・頚椎椎間板ヘルニアが対象です。「手術は怖い」「入院できない」という方も、外来での治療が可能です。適応については診察時にご確認ください。
Raczカテーテル治療(硬膜外腔癒着剥離術)
当院では、腰部脊柱管狭窄症や椎間板ヘルニア術後に残る痛み・しびれに対し、Raczカテーテル治療にも対応しています。尾骨付近から専用の細いカテーテルを硬膜外腔に挿入し、神経周囲にできた癒着を薬液とともに剥がしていく低侵襲な治療法で、保存療法では改善しにくい慢性的な神経症状が対象です。日帰りで受けられるため、「手術は避けたい」「長く続く痛みをなんとかしたい」という方にも適しています。適応については診察時にご確認ください。
脊髄刺激療法(SCS)
当院では、難治性の慢性疼痛に対する脊髄刺激療法(SCS)にも対応しています。脊髄の近くに細い電極を留置し、微弱な電気刺激によって痛みの信号を和らげる治療法で、腰下肢痛やCRPS(複合性局所疼痛症候群)など、薬や他の治療で十分な効果が得られない痛みが対象です。まずトライアル(試験刺激)で効果を確認したうえで本埋め込みに進めるため、「自分に合うか不安」という方も安心して検討いただけます。適応については診察時にご確認ください。
ペインクリニック×精神科という当院の強み
当院はペインクリニックと精神科を標榜しています。慢性疼痛は精神的なストレス・不安・うつ状態と絡み合っているケースもあり、身体の痛みとこころの問題を同時にケアできる体制は、より包括的な治療につながります。身体的に異常がなく、痛みに対する精神的な影響が疑われる方にも、当院はまとめて対応できます。
ペインクリニックと整形外科、どちらを受診すればいいか迷ったら
整形外科が向いているケース
骨折・捻挫・脱臼などの外傷、変形性関節症・靭帯損傷・腱炎など構造的な異常が明確な疾患、リハビリテーションや装具を必要とするケース、手術が必要な可能性がある重篤な脊椎疾患などは整形外科への受診が適しています。
ペインクリニックが向いているケース
以下のような状況ではペインクリニックへの受診をご検討ください。整形外科に通院しているが痛みが改善しない・長引いている、脊椎手術をしたが痛みが改善しない・レントゲンやMRIに異常がないと言われたが痛みが続いている、帯状疱疹後に神経の痛みが残っている、慢性的な頭痛・顔面の痛みがある、手汗・脇汗・足汗・顔汗がひどくて日常生活に支障がある、手術を希望しないが薬だけでは効果が不十分である。こうしたケースはペインクリニックが力を発揮できる領域です。
迷ったらまずご相談ください
「自分の症状がペインクリニックの対象になるかわからない」という場合も、まずはお気軽にご相談ください。当院では診察時に症状の内容・経過・これまでの治療歴を丁寧に確認したうえで、ペインクリニックでの治療が適切かどうか、他科への受診が必要かどうかを含めてご説明します。
よくある質問(FAQ)
ペインクリニックは何科ですか?
ペインクリニックは標榜科目としては「ペインクリニック内科外科」「麻酔科」として標榜されることが多い診療科です。痛みを専門的に扱う独立した領域であり、担当医は麻酔科を専門的なバックグラウンドとするケースが多くみられます。当院は「ペインクリニック・精神科」を標榜しています。
整形外科でレントゲンを撮っても異常なしと言われた場合は?
レントゲン・MRIで構造的な異常が映らない痛みでも、神経性・機能性の痛みとして実際に症状が続いているケースは多くあります。こうした「画像に映らない痛み」は整形外科での治療が難しいことがあり、ペインクリニックへの受診が有効なケースです。
ペインクリニックは保険診療ですか?
神経ブロック療法をはじめとした当院の主な治療は保険診療の対象です。一部の治療(ボツリヌス注射など)については自費診療となるものもあります。詳細は診察時にご説明します。
多汗症もペインクリニックで診てもらえますか?
はい、当院では多汗症の診療にも対応しています。手掌多汗症・腋窩多汗症・足蹠多汗症・顔面多汗症に対して、神経ブロック療法を含む保険診療での治療をご提案できます。
初診でいきなり神経ブロックを受けられますか?
初診では問診・診察・症状の確認を行ったうえで治療方針をご説明します。症状・経過・希望によっては初診当日に神経ブロック療法を実施できるケースもありますが、まずは診察内容を踏まえてご相談します。
まとめ|痛みや多汗症の悩みは旭川のいいだメンタルペインクリニックへ
ペインクリニックと整形外科はどちらも運動器疾患を扱いますが、治療アプローチと得意とする症状に明確な違いがあります。整形外科は構造的な問題・外傷・手術に強みを持ち、ペインクリニックは神経ブロックによる慢性疼痛・神経性の痛み・難治性疼痛への対応に強みを持ちます。
「整形外科で改善しない痛みが続いている」「神経ブロック療法で治療したい」「多汗症の悩みもある」という方は、旭川のいいだメンタルペインクリニックへぜひお気軽にご相談ください。ペインクリニック専門医が一人ひとりの症状を丁寧に確認し、最適な治療方針をご提案します。
著者情報
いいだメンタルペインクリニック
ペインクリニック内科・麻酔科
理事長 飯田 高史
- 医学博士
- 麻酔科標榜医
- 日本専門医機構認定麻酔科専門医
- 日本麻酔科学会麻酔科認定医
- 日本ペインクリニック学会専門医