肩こりによる頭痛の原因と対処法〜ペインクリニックが教える改善のコツ

2026.02.13ペインクリニック内科・麻酔科

肩こりから頭痛が起こるメカニズム

肩こりと頭痛の関係に悩まされている方は少なくありません。

実は、日本人の大多数の方が「肩こり」に悩んでいるとされています。そして、頭痛の原因にはさまざまなタイプがありますが、その中でも緊張型頭痛は、日常診療で比較的多く遭遇する頭痛の一つとされています。この緊張型頭痛こそが、肩こりと密接に関連しているのです。

肩や首回りの筋肉が緊張すると、血流が悪くなります。

特に重要なのが、首の後ろから肩、背中にかけて広がる「僧帽筋」です。この筋肉が硬くなると、頭部へ向かう神経が刺激され、頭痛が引き起こされるのです。頭全体がハチマキで締め付けられるような痛み・・・これが緊張型頭痛の典型的な症状となります。

肩こりが慢性化すると、肩や首回りがいつも緊張した状態になり、頭痛が繰り返されるようになります。マッサージで一時的に楽になっても、すぐに元に戻ってしまう経験はありませんか?それは根本的な原因が解決されていないからです。

肩こりと頭痛の主な原因

不良姿勢とデスクワーク

現代社会では、パソコンやスマートフォンを長時間使用する機会が増えています。

うつむく角度が30度になると、首にかかる負担は通常の3倍、45度になると4倍にもなります。猫背や前かがみの姿勢が続くと、肩に余分な負荷がかかり、血行不良や筋肉疲労が起こるのです。

デスクワークで同じ姿勢を長時間続けることは、肩こりを引き起こす大きな要因です。姿勢の悪さが日常化していると、身体への負担が偏り、筋肉バランスが崩れてしまいます。そのことで骨格にゆがみが生じ、猫背や反り腰といった不良姿勢が定着しやすくなります。

眼精疲労とストレス

スマホやパソコンを長時間使用していると、眼精疲労を起こすことがあります。

眼精疲労は、目や顔まわりの筋肉が緊張している状態だと考えられており、この筋肉の緊張が首や肩周辺に拡大することで肩こりにつながります。また、精神的なストレスも自律神経のバランスを乱し、交感神経の活発な状態が続くと身体の緊張状態が続き、筋肉疲労から肩こりを引き起こしやすくなるのです。

運動不足と筋力低下

運動不足は、血行が悪くなり筋肉の柔軟性が低下してきます。硬くなった筋肉で血管が圧迫され、乳酸、水素イオン、無機リン酸などの老廃物が肩まわりに蓄積してしまうのです。

また、運動不足で肩まわりの筋力が低下すると、筋肉の収縮・弛緩によるポンプ作用が弱くなるため、血行不良から肩こりを生じやすくなります。適度な運動は肩こり予防において肝要です。

頸椎症と頸椎椎間板ヘルニア〜神経痛による肩こりと頭痛

マッサージを1〜2週間続けても軽減しない痛みは、単なる肩こりではない可能性があります。

頸椎症による神経根症状

頸椎症は、変形性脊椎症の一種で、骨の中心にある脊髄と脊髄神経の束、あるいは脊髄から枝分かれした神経根と呼ばれる神経が骨の棘により圧迫されて痛みを生じます。

神経根の症状は、肩の痛みだけでなく、上腕、前腕、手、指の痛み、後頭部に痛みを生じることがあり、時に激しい痛みとなります。この痛みは肩こりのようにマッサージで軽減するものではなく、神経痛であるため、痛みが1〜2週間続いても軽減しないのが特徴です。

通常の肩こりは、骨や関節の異常ではなく、首や肩まわりの筋肉が緊張することによって起こるものです。一方、頸椎症では、加齢などによって形成された骨棘(こつきょく)が神経を圧迫し、肩や腕に痛みやしびれが生じることがあります。

頸椎椎間板ヘルニアの症状

頸椎椎間板ヘルニアは、椎間板の突出的な原因により脊髄、脊髄神経の圧迫、あるいは神経根の圧迫により肩、腕に激しい痛みを生じます。40〜50歳代に多く発症します。

頸椎症と同様に神経根の痛みであり、肩の痛みだけでなく、上腕、前腕、手、指の痛み、後頭部に痛みを生じます。痛みはマッサージで軽減するものではなく、神経痛であるため、痛みが1〜2週間続いても軽減しないのが特徴です。

症状が強い場合や、めまい、ふらつき、ボタンがはめにくい、などの症状がある場合は脊髄症の可能性があり、脊髄症状が進行する場合、手術を考慮することになります。

当院での頭痛に対するアプローチ

慢性頭痛のうち、腫瘍・くも膜下出血・髄膜炎などの重篤な器質的疾患が否定された頭痛に対して、当院では専門的な疼痛管理を行います。

緊張型頭痛に対する治療

慢性頭痛の中で最も多いのが緊張型頭痛で、頭痛持ちの多くを占めます。

長時間のデスクワークや不自然な姿勢、精神的ストレス(不安・抑うつなど)により、頸部・肩周囲の筋肉が持続的に緊張することが主な原因です。

緊張型頭痛では、筋肉の持続的な緊張に交感神経の過剰な興奮が深く関与しているため、星状神経節ブロックや後頭神経ブロック、C2神経根ブロックなどを治療の選択肢として用います。

まとめ

肩こりから頭痛が起こるメカニズムは、肩や首の筋肉の緊張が血流を悪化させ、頭部へ向かう神経を刺激することにあります。

マッサージなどを1〜2週間続けても改善しない痛みは、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの神経痛である可能性があります。このような場合は、ペインクリニックでの専門的な治療が効果的です。つらい肩こりと頭痛でお悩みの方は、我慢せずに当院にご相談ください。適切な診断と治療により、痛みのない快適な生活を取り戻すことができます。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

ペインクリニック内科・麻酔科

理事長 飯田 高史

  • 医学博士
  • 麻酔科標榜医
  • 日本専門医機構認定麻酔科専門医
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定医
  • 日本ペインクリニック学会専門医