椎間板ヘルニア手術の種類〜最小侵襲から内視鏡まで徹底解説
2026.01.22ペインクリニック内科・麻酔科

腰椎椎間板ヘルニアの手術の種類
腰椎椎間板ヘルニアの診断を受けた方にとって、手術という選択肢は大きな決断です。
保存療法で改善が見られない場合、手術を検討する段階に入りますが、実は腰椎椎間板ヘルニアの手術にはいくつもの種類があります。
それぞれの手術法には特徴があり、患者さんの症状や生活スタイルに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。
この記事では腰椎椎間板ヘルニア手術の主な種類と特徴、最小侵襲手術から内視鏡手術までの違い、各手術法のメリット・デメリット、手術を選択する際の判断基準について解説していきます。
腰椎椎間板ヘルニアの手術が必要になるケース
腰椎椎間板ヘルニアの多くは、保存療法で改善します。
実際、約70〜85%の患者さんは手術を必要としません。しかし、一定の条件下では手術が推奨されます。
保存療法で効果が見られない場合
3ヶ月以上の保存療法を行っても症状が改善しない場合、手術を検討する段階に入ります。
安静、装具、リハビリ、神経ブロック注射などの治療を試みても、強い痛みが続く状況は患者さんの生活の質を著しく低下させます。
特に、日常生活や仕事に支障をきたす場合は、手術による根本的な解決が必要になることがあります。
神経症状が進行している場合
筋肉の麻痺が出現したり、排尿・排便の障害(馬尾症候群)が見られる場合は、緊急手術の対象となります。
これらの症状は神経への圧迫が強いことを示しており、放置すると回復が困難になる可能性があります。足の筋力低下が進行している場合も、早期の手術介入が推奨されます。
神経損傷が不可逆的になる前に、適切な判断が肝要です。
再発を繰り返す場合
一時的に症状が改善しても、繰り返し強い痛みが再発する場合があります。
このような状況では、保存療法の限界を認識し、手術による根本的な治療を検討することが現実的です。再発のたびに生活や仕事に制限が生じることは、長期的には患者さんにとって大きな負担となります。
椎間板ヘルニアに効果的な主な種手術6種類
| 名称 | 略称 | 主な特徴 | 備考 |
| 経皮的髄核摘出術 | PN(Percutaneous Nucleotomy) | 細い管を通して髄核を吸引・切除。最も古典的。 | 1970年代に確立。低侵襲だが適応が限定的。 |
| 経皮的レーザー椎間板減圧術 | PLDD(Percutaneous Laser Disc Decompression) | レーザーで髄核を蒸散・減圧し、神経圧迫を軽減。 | 欧米・日本で普及。軽度ヘルニアに有効。 |
| 経皮的内視鏡下椎間板摘出術 | PELD(Percutaneous Endoscopic Lumbar Discectomy) | 内視鏡で確認しながらヘルニアを除去。可視性が高く再発率が低い。 | 「内視鏡手術」の主流。基本入院。傷が大きい |
| 顕微鏡下椎間板摘出術 | MED(Micro Endoscopic Discectomy) | 小切開で顕微鏡を使用。可視範囲が広く確実な除去が可能。 | 1泊入院レベル。再発防止効果高い。大きいヘルニア |
| ラジオ波椎間板凝縮術 | DISC-FX/DART | 直径2mmのニードルを使用し、髄核を部分摘出+ラジオ波で凝縮。 | 再発リスクを低減、国内で急増中。 |
| 椎間板内酵素注入療法 | HERNICORE(ヘルニコア) | 酵素(コンドリアーゼ)を注入し、ヘルニア組織を溶解。 | 手術ではなく「注入療法」だが低侵襲群に分類される。 |
各術式の比較表
| 術式 | 麻酔 | 傷の大きさ | 日帰り可否 | 再発率 | 適応ヘルニア |
| PN | 局所 | 約5mm | ○ | やや高い | 軽度〜中等度 |
| PLDD | 局所 | 2〜3mm | ◎ | やや高い | 軽度 |
| PELD | 局所〜全身 | 約8mm | △一般的に2〜4日程度 | 低い | 中等度まで |
| MED | 全身 | 約15mm | △一般的に4〜7日程度 | 低い | 中〜重度 |
| DISC-FX/DART | 局所+鎮静 | 約2mm | ◎ | 低い | 中等度 |
| HERNICORE | なし(注射) | 0mm | ◎ | 個人差 | 軽度〜中等度 |
椎間板ヘルニアの手術の種類とメリット
① 経皮的髄核摘出術(PN)
特徴
- 細い管を椎間板まで通して、飛び出している(または圧力になっている)髄核を吸引・切除する、最も古典的な経皮的手術です。
- 局所麻酔ででき、傷も小さいので負担は軽いです。
メリット
- 局所麻酔でできる → 高齢者や持病がある人にも比較的やりやすい
- 傷が小さく日帰りもしやすい
- 手技としてはシンプル
デメリット
- 取れる量に限界があるので「軽度〜中等度」のヘルニアにしか向かない
- 可視化しながら取るわけではないので、再発リスクはやや高め
選択の目安
- MRIで大きく飛び出していない
- 痛みはあるけど開放手術に行くほどでもない
- まずは最小限で試したいとき
② 経皮的レーザー椎間板減圧術(PLDD)
特徴
- 椎間板内にレーザーを当てて中の組織を蒸散させ、内圧を下げる治療。
- いわば「中からしぼませる」イメージです。
- 保険適応外治療となります。
メリット
- 切らないに近いレベルの低侵襲(2〜3mm)
- 局所麻酔で日帰りOK
- 回復が早い
デメリット
- “減圧”なので、がっつり飛び出したヘルニアや、骨で圧迫している狭窄には効きにくい
- レーザーによる効果は人によって差がある
- 適応をきちんと選ばないと「効かなかった」になりやすい
選択の目安
- 軽度の椎間板膨隆・突出
- 痛みの原因が椎間板内圧にありそうなとき
- とにかくダウンタイムを短くしたい人
③ 経皮的内視鏡下椎間板摘出術(PELD)
特徴
- 細い内視鏡で中を見ながら、飛び出したヘルニアそのものを取る方法。
- “見ながら取る”ので精度が高いです。
メリット
- 内視鏡で確認できるので取り残しが少なく、再発率が低い
- 傷は小さくても、開放手術に近い確実性を出せる
- 多くの施設で日帰り~1泊で対応できる
デメリット
- 手技に習熟が必要で、どの病院でもできるわけではない
- 椎間板の場所や形によっては到達がむずかしい症例もある
選択の目安
- ヘルニアをしっかり目で見て取りたい
- でも大きくは切りたくない
- 再発リスクをできるだけ下げたい
④ 顕微鏡下椎間板摘出術(MED)
特徴
- 小さめの切開から顕微鏡を使って行う“ミニオープン”に近い手術。
- 可視性がとても高く、きちんと除圧したいときに向きます。
メリット
- 見える範囲が広く、確実に圧迫を取れる
- 中〜重度のヘルニアにも対応しやすい
- 再発率が比較的低い
デメリット
- 全身麻酔が多い
- 傷は経皮的手術よりは大きい(といっても約1.5cm程度)
- 日帰りよりは1泊入院になることが多い
選択の目安
- ヘルニアが大きめ/圧迫が強い
- 1回でしっかり取り切りたい
- 全身麻酔が問題ない
⑤ ラジオ波椎間板凝縮術(DISC-FX/DART)
特徴
- PN法同様、髄核を鉗子で摘出後にラジオ波で焼灼する方法です。
- 2mmほどの細いルートから椎間板に入り、飛び出し気味の髄核を一部つまんで取り、さらにラジオ波で蒸散・凝縮して“しぼませる”ハイブリッド術式。
- 最近の日帰りヘルニア治療でよく使われています。
メリット
- 皮膚をほぼ切らないレベルでできる
- “取る+しぼませる”ので再発を抑えやすい
- 局所+静脈麻酔で日帰りがしやすい
- 椎間孔ヘルニアなど外側寄りの症例にも応用しやすい
デメリット
- 椎間板外側が骨でガチガチに狭くなっているような症例には向かない
- 椎体すべりや強い狭窄など“構造的な問題”は解決できない
- 導入施設がまだ限られる
選択の目安
- 中等度までの椎間板ヘルニア
- 保存療法・ブロックで改善しなかった
- でも大きく切る手術は避けたい/早く仕事に戻りたい
- 再発しにくい日帰り手術を探している
⑥ 椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)
特徴
- 椎間板内にコンドリアーゼという酵素を注射して、飛び出した髄核を“薬で小さくする”治療。
- 手術というより“注入治療”に近いです。
- 施行できるのは生涯で1度きりです。
メリット
- 切らない・ほぼ痛くない
- 保険適用(※適応を満たす場合)
- 日帰りでできる
- 高齢でもやりやすい
デメリット
- 効くタイプと効きにくいタイプがある
- 一度で十分な縮小が得られないこともある
- 強く硬く飛び出したヘルニアには不向き
選択の目安
- 画像上、酵素で溶かしやすいタイプのヘルニア
- 切る治療は避けたい
- まずは一番低侵襲な選択肢を試したい
当院で主に行っている椎間板ヘルニアの治療
いいだメンタルペインクリニックでは、患者さん一人ひとりの症状、生活スタイル、ご希望を丁寧に伺い、最適な治療法をご提案しています。
当院で主に行っている椎間板ヘルニアの日帰り手術は、「ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/DART)」です。主な特徴としては
- 日帰りでお受けいただける
- 根本的な改善が見込まれる
- 安全性のバランスが取れている
などが上げられ注目されている治療法の一種です。
日本のクリニックではDISC-FX/DARTを施行可能な施設は限られますので、、他のクリニックに行ったがヘルニアが改善しなかった、ヘルニアが再発してしまったなど、お悩みの方はお気軽にお電話でご相談ください。
関連記事:椎間板ヘルニアの日帰り手術とは
まとめ〜椎間板ヘルニアの手術の種類
椎間板ヘルニアの手術には、多様な選択肢があります。
それぞれの手術法には特徴があり、患者さんの症状や生活スタイルに応じて最適な方法を選ぶことが重要です。最小侵襲手術の発展により、体への負担が少なく、早期の社会復帰が可能になっています。
手術後のリハビリや生活管理も、再発予防と機能回復のために極めて重要です。適切な治療選択と術後管理により、痛みから解放され、快適な日常生活を取り戻すことができます。
椎間板ヘルニアでお悩みの方は、ぜひ一度いいだメンタルペインクリニックにご相談ください。
著者情報
いいだメンタルペインクリニック
ペインクリニック内科・麻酔科
理事長 飯田 高史
- 医学博士
- 麻酔科標榜医
- 日本専門医機構認定麻酔科専門医
- 日本麻酔科学会麻酔科認定医
- 日本ペインクリニック学会専門医