「CPAPをやめたい…」安全な中止方法と代替治療の選択肢
2025.12.06精神科・心療内科

「CPAPをやめたい...」後悔しない安全な中止方法
睡眠時無呼吸の治療としてCPAP療法を続けている方の中には、「CPAPをもうやめたいな」「いつまで続ければいいんだろう」と感じている方もいるかもしれません。この記事では、CPAP治療を中止した場合に考えられるリスクや治療を継続することの重要性、そして「やめたい」と思った時にまず行うべきことについて詳しく解説します。
CPAP療法を自己判断でやめるとどうなる?
CPAP療法は睡眠中の気道閉塞を防ぎ、無呼吸や低呼吸を抑制することで効果を発揮します。この治療を自己判断で中断すると、治療によって抑えられていた睡眠中の呼吸異常(低酸素・無酸素状態)が再び出現し、様々な健康リスクが高まります。
睡眠時無呼吸の再発・悪化
CPAPをやめると、再び睡眠中の気道が塞がり、無呼吸や低呼吸が再発します。
症状が治ったように感じても、実際には元の状態に戻ってしまいます。
健康リスクの上昇
無呼吸が続くと血中酸素が低下し、心血管系への負担が増します。
CPAP中止により、次のような病気のリスクが高まります。
- 高血圧や糖尿病の発症もしくは悪化
- 心筋梗塞・脳卒中・狭心症の発症もしくはリスク増加
- 不整脈などの心臓トラブル
これらは命に関わる合併症につながることも多いため、治療の継続が大切です。
日中の症状の再発
CPAP治療によって改善していた日中の眠気、倦怠感、集中力低下、気分の落ち込み、不安、自律神経症状なども、治療を中止すると再び現れる可能性が高くなります。
「CPAP治療をやめたい」と思った時にまず行うべきこと
CPAP治療に負担を感じ、「やめたい」と思った時は自己判断で中止する前に、まず医療機関に相談することが大切です。
医療機関への相談
CPAP治療に関する悩みや不安がある場合は必ず担当の医師に相談してください。
原因の特定と対処
医療機関では患者さんの悩みを聞き、CPAP装置の使用データなどを確認しながら、なぜCPAP治療が負担になっているのか原因を探ります。
- マスクの不快感や空気漏れ
- CPAPの騒音
- 鼻や喉の乾燥、鼻詰まり
- CPAPの圧力設定
- 精神的な慣れの問題
これらの原因に対して、マスクの種類やサイズの変更、圧力設定の調整、加湿器の使用、鼻の治療など適切な対処法を提案します。
治療継続のサポート
当院では患者さんがCPAP治療を快適に継続できるようサポートを提供しております。定期的な診察で治療状況を確認し、困っていることに対してアドバイスや調整を行います。
CPAP治療を本気で終了したいなら
CPAP療法は基本的に継続が前提の治療ですが、病状が改善した場合には医師の判断で中止や他の治療への切り替えが検討されることがあります。
終了できるケースとは
CPAPを中止できる可能性があるのは、以下のように気道の閉塞が改善した場合です。
- 大幅な体重減少(肥満が原因だった場合ですが、実際はマイナス数十kgが目安になることが多いです)
- 扁桃腺手術などで気道が広がった場合
医師の再評価が必須
中止の可否は必ず医師による再検査(簡易検査やPSG)で判断します。
自己判断で中止すると、再発や健康リスクが高まるため危険です。
自己判断の中止は厳禁
「症状が軽くなった」「痩せたから大丈夫」といった自己判断での中止は禁物です。
見た目の変化だけでは改善を判断できず、再び無呼吸が悪化する恐れがあります。
CPAP治療の継続が大切な理由
CPAP療法は、睡眠時無呼吸に対する対症療法であり、病気そのものを完治させる治療ではありません。
しかし、継続することで睡眠時無呼吸による様々な悪影響を防ぎ、健康な生活を維持するために重要な役割を果たします。
健康維持への貢献
CPAPを継続して使用することで睡眠中の呼吸が安定し、体内の酸素レベルが正常に保たれます。酸素レベルが正常になれば心臓や血管への負担が軽減され、高血圧や心血管疾患、脳卒中などのリスクを低減できます。
精神症状の改善や生活の質の向上
CPAP治療によって日中の眠気や倦怠感が改善すると集中力が高まり、また抑うつ気分や不安・自律神経症状も改善するため、日常生活全般で意欲的かつ活動的になります。仕事の効率が上がったり、趣味や外出を楽しめるようになったりと、生活の質が大幅に向上します。
合併症の予防・改善
睡眠時無呼吸は様々な合併症を引き起こす可能性がありますが、CPAP治療を継続することでこれらの合併症の発症を予防したり、すでに発症している合併症(高血圧、糖尿病など)を改善させたりする効果が期待できます。
まとめ〜CPAPをやめたいと感じたら
CPAP治療を「やめたい」と感じることは、決して珍しいことではありません。毎晩マスクを装着することに負担を感じるのは当然です。
しかし、自己判断での中止は健康リスクを高める可能性があります。
まずは医療機関に相談し、なぜやめたいと思っているのか、その原因を特定することが鍵になります。マスクの変更や圧力調整、加湿器の使用など、適切な対処法によって治療を快適に継続できる場合も多いのです。
CPAP治療は、あなたの健康と生活の質を守るための大切なパートナーです。一人で悩まず、専門家のサポートを活用しながら、最適な治療法を見つけていきましょう。
CPAP治療についてさらに詳しく知りたい方、睡眠の問題やCPAP治療でお悩みの方やは、ぜひいいだメンタルペインクリニックにご相談ください。
著者情報
いいだメンタルペインクリニック
精神科・心療内科
副院長 安田 麻美
- 精神保健指定医
- 日本精神神経学会専門医・指導医
- 日本睡眠学会総合専門医
- 日本老年精神医学会専門医・指導医
- 日本医師会認定産業医
- 日本医師会認定健康スポーツ医
- 北海道女性医師の会 理事