精神科と睡眠外来の違い|不眠の原因に合わせた医療選択のポイント

2025.12.05精神科・心療内科

不眠で受診する診療科の選び方|精神科・睡眠外来の違いと判断の目安

眠れない夜が続くと、日常生活に支障をきたしてしまいます。不眠に悩む方の中には「どの診療科を受診すればいいのだろう?」と迷われる方も多いのではないでしょうか。

睡眠の問題は、精神科で診てもらえるのか、それとも専門の睡眠外来に行くべきなのか。選択肢が複数あると、どちらが自分に合っているのか判断が難しいものです。

この記事では、精神科と睡眠外来の違い、それぞれの特徴や選び方について詳しく解説します。睡眠の悩みを抱える方が適切な医療機関を選ぶための参考になれば幸いです。

精神科と睡眠外来の基本的な違い

精神科と睡眠外来では、診療の対象となる症状や専門性に違いがあります。それぞれの特徴を理解することで、自分の症状に合った医療機関を選びやすくなるでしょう。

精神科

うつ病や適応障害、不安障害などの精神疾患全般を対象としています。精神疾患の一症状として睡眠の問題も扱います。

睡眠外来

睡眠に関する問題に特化した専門外来です。不眠症だけでなく、睡眠時無呼吸など、睡眠に関する様々な障害を専門的に診療します。

精神科と睡眠外来の治療アプローチの違い

精神科と睡眠外来では、睡眠の問題に対するアプローチが異なります。

精神科では心理的側面からのアプローチが中心となり、睡眠外来では睡眠そのものに焦点を当てた治療が行われます。

精神科での治療アプローチ

精神科での不眠治療は、背景にある精神疾患や心理的問題の改善を通じて睡眠の質を向上させることを目指します。主な治療アプローチには以下のようなものがあります。

  • 薬物療法:抗うつ薬や抗不安薬、気分安定薬などの精神科薬と睡眠薬を組み合わせた治療
  • 精神療法:認知行動療法や対人関係療法などを通じて、不眠の原因となる心理的問題に対処
  • 生活指導:規則正しい生活リズムの確立や、ストレス管理の方法についてのアドバイス

精神科では、患者さんの話をじっくり聞き、生活背景や心理状態を総合的に評価します。不眠が単なる症状ではなく、うつ病や不安障害などの一部である場合が多いため、根本的な原因治療を重視します。

例えば、うつ病による不眠の場合、睡眠薬だけでなく抗うつ薬を併用することで、睡眠の問題と気分の落ち込みの両方を改善することを目指します。

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睡眠外来での治療アプローチ

睡眠外来では、睡眠そのものに焦点を当てた専門的な治療が行われます。主なアプローチには以下のようなものがあります。

  • 睡眠衛生指導:睡眠環境の改善や、睡眠に適した生活習慣についての具体的なアドバイス
  • 睡眠薬治療:不眠のタイプに合わせた適切な睡眠薬の選択と用量調整
  • 認知行動療法(CBT-I):不眠症に特化した認知行動療法
  • CPAP治療:睡眠時無呼吸に対する経鼻的持続陽圧呼吸療法
  • 睡眠制限療法:ベッドで過ごす時間を制限して睡眠効率を高める方法

睡眠外来の大きな特徴は、睡眠ポリグラフ検査などの客観的な検査を通じて睡眠の状態を詳細に評価できる点です。これにより、自覚症状だけでは判断が難しい睡眠時無呼吸などの診断が可能になります。

また、睡眠日誌を活用して患者さんの睡眠パターンを詳細に分析し、それに基づいた個別の治療計画を立てることも睡眠外来の特徴です。

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精神的な症状が強く、不眠もその一部と感じる場合は精神科がおすすめです。一方、睡眠そのものの問題が中心で、いびきや日中の強い眠気などの症状がある場合は睡眠外来が適しているでしょう。

当院の睡眠外来の特徴と治療内容

いいだメンタルペインクリニックでは、精神科・心療内科の診療に加えて、睡眠外来を設置しています。睡眠の問題に悩む方に対して、専門的な診断と治療を提供しています。

当院の睡眠外来では、不眠症だけでなく、睡眠時無呼吸や過眠症など、様々な睡眠障害に対応しています。患者さん一人ひとりの症状に合わせた治療を行い、より良い睡眠と生活の質の向上を目指します。

当院で診療可能な睡眠障害

当院の睡眠外来では、以下のような睡眠障害の診療が可能です。

  • 不眠症:寝つきが悪い、夜中に何度も目が覚める、朝早くに目が覚めてしまうなどの症状
  • 過眠症:十分な睡眠時間をとっても日中の眠気が強い状態
  • 睡眠時無呼吸:睡眠中に呼吸が止まる、大きないびきをかくなどの症状
  • 概日リズム睡眠障害:体内時計のリズムが乱れ、望ましい時間に眠れない状態
  • むずむず脚症候群:就寝前に足がむずむずして落ち着かない状態

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多くの睡眠外来は呼吸器系や耳鼻科を中心とした診療体制で、「眠れない不安」「夜になると気持ちが落ち着かない」「眠れないことでメンタルが不安定になる」といった精神的な背景まで十分に対応できないことがあります。

当院の睡眠外来は精神科医が診療を担当しているため、睡眠時無呼吸などの身体的な要因の評価と、ストレス・不安などの精神面のケアを一体的に行えることが大きな特徴です

まとめ:眠れないときは「身体面」と「精神面」の両方から評価を

睡眠の問題は生活の質を大きく左右します。「睡眠外来に通ったけれど改善しなかった」「検査では異常がないと言われたのに眠れない」という方の中には、ストレスや不安など精神的な要因が背景にあるケースも少なくありません。

いいだメンタルペインクリニックは、精神科医が担当する睡眠外来として、呼吸やいびきなどの身体的な睡眠障害の評価に加え、メンタル面の状態も同時にチェックします。これにより、「睡眠外来では原因が見つからなかった不眠」や「治療を続けても眠れない状態」に対しても、別の視点から再評価が可能です。

睡眠の問題でお悩みの方、すでに治療を受けたが改善しなかった方も、どうぞ一度いいだメンタルペインクリニックにご相談ください。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

精神科・心療内科

副院長 安田 麻美

  • 精神保健指定医
  • 日本精神神経学会専門医・指導医
  • 日本睡眠学会総合専門医
  • 日本老年精神医学会専門医・指導医
  • 日本医師会認定産業医
  • 日本医師会認定健康スポーツ医
  • 北海道女性医師の会 理事