腰痛と足のしびれが片側だけ起こる7つの原因と治療法

2025.11.18ペインクリニック内科・麻酔科

腰痛と片側の足のしびれが起こるメカニズム

「なぜか右側(または左側)の腰だけが痛む」「片方の足にしびれが走る」といった症状でお悩みではありませんか?

腰痛と片側だけの足のしびれは、日常生活に大きな支障をきたすだけでなく、「重大な病気かもしれない」という不安を抱かせます。実は、この症状には明確な原因があり、適切な対処法も存在するのです。

腰痛と片側だけの足のしびれが生じる主な理由は、神経の圧迫にあります。腰椎(背骨の腰の部分)から出ている神経が何らかの原因で圧迫されると、その神経が支配している領域に痛みやしびれが現れるのです。

特に注目すべきは、腰から足に向かって伸びる坐骨神経です。この神経は体の中で最も長く太い神経で、圧迫されると腰から足にかけての痛みやしびれを引き起こします。

腰痛と片側の足のしびれが起こる7つの原因

腰痛と片側の足のしびれが起こる原因は複数あります。ここでは代表的な7つの原因について詳しく解説します。

1. 腰椎椎間板ヘルニア

最も多い原因の一つが腰椎椎間板ヘルニアです。椎間板の中にあるゼリー状の髄核が飛び出し、神経根を圧迫することで痛みやしびれが生じます。

特徴的なのは、前かがみになると痛みが増すことです。20代から40代の比較的若い世代に多く見られます。

腰椎椎間板ヘルニアでは、第4-5腰椎間のヘルニアではふくらはぎの外側から足の甲にかけてしびれが生じ、第5腰椎と第1仙椎間のヘルニアではふくらはぎの裏から足の小指にかけてしびれを感じることが多いです。

2. 腰部脊柱管狭窄症

脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、坐骨神経痛を引き起こす疾患です。50歳以上の中高年に多く見られますが、もともと脊柱管が狭い方は30〜40代でも症状が出ることがあります。

特徴的なのは、腰を反らすと痛みが増すことです。また、長時間歩くと痛みが強くなり、少し休むと楽になる「間欠性跛行」という症状が見られます。

3. 梨状筋症候群

お尻の筋肉である梨状筋に坐骨神経が圧迫されることで起こる症状です。坐骨神経は梨状筋の下を通っており、股関節が内側に向くことによる伸長ストレスや、梨状筋の短縮によって、坐骨神経が圧迫されて痛み、しびれを引き起こします。

梨状筋やお尻周りの筋肉の硬直・炎症などにより起こるケースが多いです。長時間の座位や運動不足の方に見られることがあります。

4. 腰椎分離症

腰椎の一部(椎弓)に疲労骨折が生じる疾患です。ジャンプを伴うスポーツをしている若い方に多く見られます。10代から発症することもあり、若い方でも腰痛や下肢のしびれといった症状が出てきた際には注意が必要です。

5. 腰椎すべり症

腰椎の一つが前方や後方にずれてしまう状態です。このずれによって神経根が圧迫され、腰痛と足のしびれが生じます。加齢や先天的な要因、外傷などが原因となります。

立ち上がる際や長時間の立位で痛みが強くなる特徴があります。また、前かがみになると症状が軽減することもあります。

6. 仙腸関節障害

骨盤と脊椎をつなぐ仙腸関節や靭帯に問題が生じる疾患です。片側の腰や臀部の痛み、ふともものしびれを引き起こすことがあります。

妊娠中や出産後の女性、長距離ランナーなどに多く見られます。片足立ちや階段の昇り降りで痛みが増すのが特徴です。

7. 末梢神経障害

糖尿病や栄養障害、アルコール多飲などによって末梢神経が障害されると、足のしびれや痛みが生じることがあります。これは全身性の問題ですが、初期には片側から症状が出ることもあります。

末梢神経障害では、しびれや痛みだけでなく、感覚の鈍さや筋力低下なども見られることがあります。また、症状は先端から始まり徐々に進行することが多いです。

このような症状が続く場合は、基礎疾患の検査も含めた総合的な診断が必要です。

腰痛と片側の足のしびれが起きやすい日常習慣

腰痛と片側の足のしびれは、特定の疾患だけでなく、日常生活における習慣やクセが原因となることも少なくありません。

姿勢の悪さと体の歪み

腰痛と片側の足のしびれの多くは、体の歪みが原因で発症しています。例えば、いつも同じ側の足に体重をかける、片側だけを向いて長時間作業するなどの習慣があると、体に歪みが生じます。

この歪みにより、片側の筋肉に負担が集中し、筋肉の張りや凝りを引き起こします。さらに、それが続くと骨格自体が歪み、神経への圧迫につながるのです。

腰痛と片側の足のしびれだけでなく肩こりや頭痛、内臓の不調なども引き起こす可能性があるため、体の歪みは早めに改善することが大切です。

デスクワークとスマホ使用の影響

現代社会では、デスクワークやスマホの長時間使用が増えています。これらは首や腰に大きな負担をかけ、腰痛や片側の足のしびれの原因となることがあります。

特にスマホやノートパソコンは首を前に曲げて画面を見る姿勢になりがちで、これが「ストレートネック」と呼ばれる首の骨の変形を引き起こし、神経への圧迫につながることがあります。

また、いつも同じ側に体重をかけて座ったり、片側だけを向いて作業したりすると、片側の腰に負担がかかり、痛みやしびれを引き起こす可能性があります。

専門医の受診が必要なケース

腰痛と片側の足のしびれは、自己管理で改善するケースもありますが、以下のような症状がある場合は早めに専門医に相談することをお勧めします。

受診の目安となる症状

以下のような症状がある場合は、早めに専門医への相談をご検討ください。

  • 痛みやしびれが2週間以上続く
  • 痛みが強く、日常生活に支障をきたす
  • 足に力が入りにくい、歩きにくいなどの症状がある
  • 外傷後に痛みが出現した

こちらの症状に該当する方は、すぐに医療機関を受診してください。

腰痛と足のしびれが片側だけに起こる場合の治療法

腰痛と片側の足のしびれが起こる場合の治療法は、原因疾患や症状の程度によって異なります。ここでは一般的な治療アプローチについてご説明します。

神経ブロック療法

硬膜外ブロックや神経根ブロックなどがあり、炎症を抑え、痛みを軽減する効果があります。

当院では神経ブロック療法を、X線透視下や超音波ガイド下に行うことで、より安全かつ正確に治療を提供しています。さらに効果時間を伸ばすために、高周波熱凝固法やパルス高周波法を選択することもあります。


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手術療法

それでも改善が見られない場合は椎間板ヘルニアの日帰り手術、主にラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/DART®)をご案内しております。低侵襲で20〜30分程度の短時間の手術になります。


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まとめ:腰痛と足のしびれが片側だけに起こる場合の対処法

腰痛と足のしびれが片側だけに起こる症状は、坐骨神経痛として知られており、様々な原因が考えられます。椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症、梨状筋症候群などが主な原因です。

腰の痛みは我慢せず、特に片側の痛みやしびれが続く場合は、専門医に相談することをお勧めします。早期発見と適切な治療が、快適な生活を取り戻す鍵となります。

当院では、痛みの原因を総合的に評価し、患者さん一人ひとりに最適な治療プランをご提案しています。腰痛でお悩みの方は、ぜひいいだメンタルぺインクリニックにご相談ください。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

ペインクリニック内科・麻酔科

理事長 飯田 高史

  • 医学博士
  • 麻酔科標榜医
  • 日本専門医機構認定麻酔科専門医
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定医
  • 日本ペインクリニック学会専門医