椎間板ヘルニアの痛みを和らげる8つの方法について

2025.10.24ペインクリニック内科・麻酔科

椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法について

腰や足に鋭い痛みやしびれを感じる椎間板ヘルニア。日常生活に大きな支障をきたすこの症状に悩まされている方は少なくありません。

この記事では、椎間板ヘルニアの痛みを和らげるための生活習慣と効果的な対処法について詳しく解説します。

椎間板ヘルニアの痛みを和らげる8つの方法

椎間板ヘルニアによる痛みは、適切なケアと対処法で和らげることができます。ここでは、日常生活で実践できる7つの方法をご紹介します。

これらの方法は、症状の程度や個人の状態によって効果が異なりますので、ご自身の体調に合わせて取り入れてみてください。痛みが強い場合や長期間続く場合は、必ず医療機関を受診しましょう。

1. 安静と正しい姿勢

急性期の強い痛みがある場合は、まず安静にすることが大切です。横になるときは膝を軽く曲げて腰の負担を軽減しましょう。完全な寝たきりは筋力低下を招くため避け、痛みが落ち着いてきたら徐々に活動量を増やしていくことをおすすめします。

正しい姿勢を保つことも重要です。長時間同じ姿勢でいることは避け、定期的に姿勢を変えたり、立ち上がって軽く体を動かしたりしましょう。デスクワークが多い方は、背筋を伸ばして座り、足を組まないようにすることで腰への負担を減らせます。

2. 冷却・温熱療法

発症直後48時間以内は冷却療法が効果的です。氷嚢やアイスパックを痛みのある部位に15〜20分間当て、炎症を抑えましょう。直接肌に当てると凍傷の危険があるため、タオルなどで包んでから使用してください。

症状が落ち着いてきたら、温熱療法に切り替えると血行が促進され、筋肉の緊張がほぐれます。入浴やホットパック、蒸しタオルなどを活用しましょう。ただし、熱すぎると炎症を悪化させる可能性があるため、心地よいと感じる温度にとどめることが大切です。

3. 効果的なトレーニング

適切な運動は、腰周りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減するのに役立ちます。

特に効果的なのは、コアマッスル(体幹の筋肉)を鍛える運動です。腹筋や背筋を適度に強化することで、腰椎を安定させ、椎間板への負担を減らすことができます。

ペルビックチルト:仰向けに寝て膝を立て、腰を床に押し付けるように骨盤を傾ける運動

ブリッジ:仰向けに寝て膝を立て、お尻を持ち上げる運動

プランク:うつ伏せの状態から肘と爪先で体を支える姿勢を保つ運動

これらの運動は、痛みがない状態で少しずつ始め、徐々に強度を上げていくことが大切です。痛みを感じる場合は、すぐに中止してください。

4. 適切な睡眠環境の整備

質の良い睡眠は、痛みの軽減と回復に重要な役割を果たします。硬すぎず柔らかすぎないマットレスを選び、横向きに寝る場合は膝の間に枕を挟むと腰への負担が軽減されます。

仰向けで寝る場合は、膝の下に薄い枕やクッションを置くと腰の自然なカーブが保たれ、負担が減ります。うつ伏せ寝は腰に負担がかかるため避けましょう。

5. 体重管理と食生活の改善

過剰な体重は腰への負担を増加させるため、適正体重の維持が重要です。バランスの良い食事と適度な運動を心がけましょう。

抗炎症作用のある食品を積極的に摂ることも効果的です。オメガ3脂肪酸を含む魚(サバ、サーモンなど)、ターメリック(ウコン)、生姜、緑黄色野菜、ベリー類などが炎症を抑える効果があるとされています。

また、水分をしっかり摂ることで椎間板の水分量を保ち、クッション機能を維持する助けになります。一日に1.5〜2リットルの水分摂取を目標にしましょう。

6. 姿勢改善と日常生活の工夫

日常生活での姿勢や動作を見直すことで、椎間板への負担を軽減できます。重いものを持つときは、腰ではなく膝を曲げてしゃがみ、背筋を伸ばした状態で持ち上げましょう。また、両手で均等に重さを分散させることも大切です。

長時間のデスクワークでは、エルゴノミクスに配慮した椅子やデスクを使用し、定期的に立ち上がって軽くストレッチすることをおすすめします。スマートフォンやタブレットを見るときは、首を下に曲げすぎないよう注意しましょう。

7. ストレス管理とリラクゼーション

ストレスは筋肉の緊張を高め、痛みを悪化させる要因となります。ストレス管理のためのリラクゼーション法を取り入れることで、痛みの軽減に役立ちます。

深呼吸、瞑想、ヨガ(痛みを悪化させない範囲で)、マインドフルネスなどの実践が効果的です。また、趣味や好きな活動に時間を使うことでストレスを軽減できます。

8. コルセットの活用

コルセットやサポーターは、腰を安定させ、椎間板への負担を軽減するのに役立ちます。

急性期には、医療用のコルセットを使用することで痛みを和らげることができます。ただし、長期間の使用は腰周りの筋肉を弱めてしまう可能性があるため、医師の指導のもとで適切に使用することが重要です。

コルセットがない場合は、幅広のタオルを腰に巻いて代用することもできます。きつく締めすぎず、適度な圧で腰をサポートするようにしましょう。

当院で行なっている治療について

当院の椎間板ヘルニア治療には、薬物療法、神経ブロック注射などの保存療法をはじめ、手術療法では、ラジオ波椎間板ヘルニア凝縮術(DISC-FX/ DART)、硬膜外腔癒着剥離術(Raczカテーテル)、脊髄刺激療法などがあります。

詳しくはこちらをご覧ください。

関連記事:痛みを和らげる治療について

まとめ:椎間板ヘルニアの痛みと上手に付き合うために

椎間板ヘルニアの痛みは、適切な対処と生活習慣の改善によって和らげることができます。この記事でご紹介した方法を参考に、ご自身の状態に合った対策を取り入れてみてください。

重要なポイントをまとめると:

  • 急性期には安静を保ち、適切な姿勢でコルセットや温冷療法を活用する
  • 日常生活では正しい姿勢と動作を心がけ、腰への負担を軽減する
  • 適切な運動とストレッチで腰周りの筋肉を強化する
  • 抗炎症作用のある食品を摂取し、適正体重を維持する
  • 質の良い睡眠環境を整える
  • 症状が改善しない場合は、専門医による適切な治療を受ける

椎間板ヘルニアは、適切なケアと治療によって症状を和らげ、日常生活の質を向上させることができます。ここまでご紹介した内容を振り返り、椎間板ヘルニアとの上手な付き合い方をまとめてみましょう。

腰や足の痛みでお悩みの方は、お気軽にいいだメンタルペインクリニックにご相談ください。

著者情報

いいだメンタルペインクリニック

ペインクリニック内科・麻酔科

理事長 飯田 高史

  • 医学博士
  • 麻酔科標榜医
  • 日本専門医機構認定麻酔科専門医
  • 日本麻酔科学会麻酔科認定医
  • 日本ペインクリニック学会専門医